丹波の酒蔵「山名酒造」
創業時のブランドを復刻!
代替わりをして3年。「やりたいことを本当に自由にやらせて
もらっています」と笑う、第十二代目当主・山名洋一朗さん。
「千歳」の復活も、そのうちの一つでした。世の中の酒造りの
主流は、乳酸や酵母を添加する「速醸酛」。山名酒造でも、
幕末以降、代々の杜氏のもとでずっと踏襲されてきました。
これを用いず、蔵で培った天然の発酵菌が出す乳酸に頼る、創業当時の
古式製法で造りたい、と思い立ったのが約5年前。しかし、
「速醸酛」の約2倍以上の時間と手間がかかるため、現場の賛同を
得られず、当初は一人きりで取り組まれたとのこと。その
大きな挑戦を、何も言わずに見守った先代の懐の深さにも感銘を受ける
ばかりです。「そうしてできたお酒が、無茶苦茶うまかった。
もちろん、課題もありましたが、次年度からは若い蔵人たちが力を貸してくれるようになり、
今では初年の3、40倍程の量を造れるようになりました」。
次世代に誇れる酒造りを。
原料である酒米は、丹波周辺の契約農家の栽培米のみを使用。
「千歳」では、兵庫県産であるだけでなく、出自もこの土地に
ルーツのあるものだけを使うというこだわりぶりです。
「丹波は、原料一つを取ってもアドバンテージのある土地なので、
いろいろな品種で様々な縛りを試みながら、酒造りができることが強み
です。丁寧に仕込まれた透明感のある酒質が特徴の「奥丹波」の美味し
さはこれまで通り大切にしながら、昔ながらの製法を復元させた
「千歳」も、守るべき酒文化として、誇りを持って次世代につなぎたいと思っています」と、洋一朗さん。
若き当主に蔵の未来を委ねる父・純吾さんの温かな眼差しが印象的でした。
丹波・篠山酒造組合の代表を務めながら、地域の魅力発見&発信にも
尽力されている先代。「丹波を、魅力あるまちとして次世代につなぐ
ためには、まずはここで暮らす自分たちが住みやすく、楽しめる地域
であることが重要ですから」。
お問い合わせ先:山名酒造株式会社
兵庫県丹波市市島町上田211
TEL 0795(85)0015
URL http://www.okutamba.co.jp