兵庫 食の応援団

三上公也のええとこ、ええひと、うまいもん「酒粕ばなし」

 

2月のことを昔から異名として「如月(きさらぎ)」といわれますが、「衣更月」や「着更月」とも書かかれ読んで字の如く1年のうちで最も寒いのがこの時期です。
そしてこの時期に身体が温まるほっこりする食べもののひとつが粕汁です。
この酒粕を使った調理はなんでも関西独特のものだそうです。

フードジャーナリストの蘇我和弘さんによると粕汁は愛知から東、岡山から西にはない関西圏独自のもので、酒粕を使うということが関西以外では馴染みがないものだったそうです。

いまでこそ健康に良いとされ日本のスーパーフードとまでいわれるようになりましたが
関西以外ではあまり知られていなかったものなのです。
その関西でも昭和から平成へと時代が移り変わる中で市場での流通量が減り、家庭での利用も薄れてきたといいます。

しかし名前こそ「かす」ですが、そこにはタンパク質やビタミンなどのミネラル、食物繊維など多くの栄養素が含まれ、糖尿病や高血圧の予防、美肌効果もあると謳われているのです。

そこで酒粕の持つ特性や食文化を再び促そうと蘇我さんが声を上げ始まったのが「酒粕プロジェクト」です。スタートして9年目になりますが、今では和食はもちろん、フランス料理やイタリア料理、さらには中華料理、スイーツ、カクテルと幅広い料理人や職人の手によって利用の試みがなされています。

日本の食材の6割以上が輸入に頼る昨今ですが、日本酒は100%国産ゆえ、その副産物である酒粕も100%国産です。
酒粕は関西の、いや日本の食文化を見直すきっかけのひとつになるでしょう。

 

ラジオパーソナリティ 三上公也

 

追記

写真は先日開かれた「酒粕プロジェクト2023」で披露された粕汁で、
大阪樟蔭女子大学のフードメディア演習の授業で学生グループが考案した
「割烹明石焼き(里芋饅頭)」を神戸酒心館・さかばやしの料理長が具現化したものです。