丹波市・「婦木農場・丹波チーズ工房」
農家が行うチーズづくり!
敬介さんは、農業学校を卒業後、酪農を学ぶため静岡県の牧場で半年間
研修し、その牧場からジャージー牛の子牛を2頭連れて帰ってこられたそうです。
祖父の代には牛を飼っていたこともあり、酪農を農場経営の基盤に活かしたいと、
試行錯誤を重ねた末、チーズ製造に着目。北海道のチーズ職人のもとに弟子入りして学び、
現在は農場内に設営した「丹波チーズ工房」で多種類のナチュラルチーズの製造を行っています。
「美味しいチーズをつくることはもちろんですが、それだけではなく、農家に牛がいて、
その糞を堆肥として田んぼや畑の土を肥やし、コメや野菜づくりに活かす。そうした流れを守りたいと
思っています」と、敬介さん。
そのために、今は10頭に増えた牛をどう守り、育てていくかが大切とも。
「物価が高騰するなか、餌代も馬鹿になりません。今後は牛舎だけで飼うのではなく、
放牧して草を食めるよう、飼育環境を整えたいと思っています。牛たちをいきなり外に出しても
体調を崩してしまうため、今後10年くらい時間をかけて行っていきたい」。
敬介さんが丹精込めてつくる「蔵熟成ゴーダ」は、
2021年ALLJAPANナチュラルチーズコンテストで最優秀賞である農林水産大臣賞を受賞。
農場を訪れた山名さんと白井さんは、ともに「蔵熟成ゴーダ」の大ファンとのこと。
2年に一度行われるコンテストに、今年はブルーチーズで挑戦したいと、日々試作を重ねておられます(取材は、2023年10月)。北海道でチーズづくりを教えてくれた師匠は、残念ながら受賞前に他界されたそう。
「工房を作る時、この地まで来てくださって、アドバイスもしてくれました。恩返しができて良かった」と、お父様の克則さん。ともに農業を楽しみ、農場を盛り立てたいと挑戦を重ねる息子の背中を見守る、温かな眼差しが印象的でした。
熟成チーズの楽しさを、もっと多くの人に知ってほしい。グラタン
などにちょっと削って入れるだけで、香りもコクもうまみも、全然
違ってきます。シュレッドチーズを使う人が多いですが、ぜひ、変えてみて。
きっと今まで使われていた量の半分で、熟成チーズならではの美味しさが伝わるはずです。
「婦木農場」
兵庫県丹波市春日町野村83
TEL 0795(74)0820
http://www.fukifarm.com