宍粟の酒蔵「山陽盃酒造」
地元の魅力を発信するショップも併設!
山陽盃酒造は、2018年11月に火災が発生。酒蔵3000㎡のうち半分の面積を焼失しましたが、幸いにも死傷者はなく、醸造設備がある仕込み蔵やボイラーなどの被害も免れました。酒類業界の仲間やボランティアの助けもあり、雄一さんは復旧作業と並行して、火災翌日から酒造りを再開。無事その年の製造を続けることができたそうです。築150年以上の歴史を持つかつての醸造蔵と、兵庫県の景観形成重要建造物に指定されている母屋は大部分が焼け落ちましたが、残った柱や梁などの構造体を再利用し再建。広々とした「播州一献ストア」として生まれ変わりました。
兵庫県産の米の旨味を出しながら、キレもあるドライな酒、と国内外で評判の「播州一献 超辛 純米」をはじめとした銘酒や、約40年前まで近隣で製造を続けていた酒蔵・本家門前屋の「三笑」を復刻した宍粟市内限定流通の酒など、ここでしか購入できないお酒も販売されています。その他にも大吟醸を使用したパウンドケーキ、波賀焼きや錫の酒器、播州山崎藍染織、粕漬けなど発酵のまち・宍粟市の名産品も取り扱う「発酵セレクトショップ」として地元の魅力を発信中です。
お酒がもたらす団らんや癒しを、次の世代に。
「播州一献」は、兵庫県原産の酒米のみを使用してつくられています。さらに蔵では1年にひとつ、大きな改善に取り組み、伝統を守りつつも次なるステップアップを図れる、そんな酒造りを目指しているそう。養父市にある明延鉱山跡を利用した年間13~15℃を保つ鉱山内の保管庫「明寿蔵」での長期熟成酒の取り組みや、兵庫県産りんごを使用した発泡酒
「ひょうごシードル RonRon」の発売も、そのひとつ。
「RonRonは、火災でお世話になった地元地域に恩返しするため兵庫県の魅力を世界に向けて発信することで貢献したいという想いと、お酒がもたらす団らんや癒しを文化として次の世代に繋げたいという想いを込めて開発。古くからある地元りんご園をはじめ県内産のりんご確保、他県の醸造所に学びに行ったうえで、私たち酒蔵だからこそ叶えられる清酒酵母きょうかい901を使用した醸造法の確立、瓶内二次発酵など2年の研究開発を経て、2020年12月に発売しました。日本酒蔵としてのアイデンティを打ち出した、杜氏がつくるりんごのお酒です」と雄一さんは語ります。次世代へ繋げるための山陽盃酒造の様々なチャレンジは、これからも続きそうです。
「山全体が美しく染まる晩秋(11月中旬~下旬)におこなわれる「最上山もみじ祭り」は、多くの観光客で賑わいます。古民家をリノベーションした宿もありますので、ぜひ遊びにいらしてください。弊社の新酒も楽しめますよ」と壺阪さん。
お問い合わせ先:
山陽盃酒造株式会社
兵庫県宍粟市山崎町山﨑28
TEL 0790(62)1010
URL http://www.sanyouhai.com/